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株式会社木村鋳造所様

高所作業が困難な狭いスペースへの導入で安全活動や環境改善に貢献してくれました。

株式会社木村鋳造所は大型鋳造品で国内トップシェアを誇る鋳物メーカー。
フルモールド鋳造法による鋳物製品のリーディングカンパニーとして、つねに技術や新規商品開発を行い、工場の環境改善や安全活動にも積極的に取り組んでいる。
今回は同社御前崎工場に導入されたUL-EIについて、その導入の目的や経緯、効果についてお話を伺った。

株式会社木村鋳造所建物

株式会社木村鋳造所について

株式会社木村鋳造所について教えてください。

弊社は昭和2年2月2日に創業し、長い歴史がある鋳物メーカーです。
自動車金型用鋳物をはじめ、工作機械用や産業機械用鋳物など幅広く対応しています。
製品は自動車関係が約4割。残りは工作機械、産業機械が6割ほどを占めていますね。

長く鋳造に取り組むなかで、新しい鋳造技術開発も積極的に取り組んでいます。
同じような製品は他のメーカーでも作られていますが、弊社では発泡スチロールで型を作る「フルモールド鋳造法」を採用しているのが特徴です。

株式会社木村鋳造所スタッフ

フルモールド鋳造法とは?

フルモールド鋳造法を詳しく教えていただけますか。

一般的な鋳造法では、まず鋳物の各パーツを木型で作り、その周りを砂で固めます。
木型を外して、砂で固められた空間に鉄を流し込み、冷却して製品を作ります。
しかし、フルモールド鋳造法では発泡スチロールで鋳物製品と同じ模型を作り、模型を砂で固め模型部分にそのまま鉄を流し込みます。
1400~1500℃の鉄は簡単に発泡スチロールをガス化しますので、一気に鋳物を完成させることができるわけです。
木型による鋳造は量産に優れているのですが、職人の熟練が必要でして、複雑で精度の高いものを作るのが難しい。
また、木を加工しなきゃいけないので手間も費用もかかります。
その点、フルモールド鋳造法は開発品や少ない数の鋳造が簡単で、完成までのスピードも速くコストも抑えられるわけです。
木型で作ると数ヶ月かかるものが、フルモールド鋳造法だと3~4週間で完成します。
車のボディは年々開発期間が短くなってます。フルモールド鋳造法による金型鋳物の製造は、以前から行われていましたが、弊社ではIT技術の活用や生産技術の進歩によりリードタイムを短縮しました。
鋳造はとくに大物になると難しいのですが、弊社では昭和41年からフルモールド鋳造法を技術導入して、IT技術によりこれを支えています。
各工場間を独自の管理システムでオンライン化したり、コンピュータ技術で設計や加工、測定などを行ってます。

模型のまわりに砂を流し込んでいる様子

模型のまわりに砂を流し込んでいる様子

すべての工程を自社工場で行っているんですか?

そうです。
模型の持ち込みでも対応できますが、模型作りから鋳造、加工まですべての工程を自社工場で行っています。
工場は、本社である静岡県の清水町工場と御前崎工場、群馬県の太田市にある群馬工場があります。
部門は鋳造のほかに、加工と模型の全3部門があります。
それと、弊社の工場では安全活動や改善活動にとくに力を入れているのも特徴ですね。
鋳物メーカーはだいたい工場内が真っ黒ですが、弊社は綺麗なほうだと評価をもらっています。
注湯する際には特殊集塵を施したトンネル内で作業をして、発生するガスが広がらないようにしています。

注湯作業は特殊集塵を施したトンネル内で行われる

注湯作業は特殊集塵を施したトンネル内で行われる

安全活動や環境改善への取り組み

安全活動や環境改善にはどんな取り組みをされているんですか?

ISO活動では品質マネジメントシステムを定めた国際基準のISO9001、地域や地球環境に配慮した企業である証として、ISO14001の認証を取得しています。
また安全性マネージメントシステムとしてOSHMSの認証も受けました。
静岡県では弊社で2社目で、鋳造メーカーとしては他にないと思います。

工場の食堂内にはISOおよびOSHMSの活動内容が掲示されている

工場の食堂内にはISOおよびOSHMSの活動内容が掲示されている

改善活動の記録を残そうということの一貫で、「ちょっとつまづいた」でも構わないので、ヒヤリカードや創意工夫提案などを募集して、とにかく挙がってきた提案を掲示して検討&推進を継続するようにしています。

工場内の巡視も、いつも現場にいる者とは少し違う視線で確認するために、従業員の女性が持ち回りで担当する活動もしています。問題の見逃しがないように努めてますね。
とにかく改善についてつねに意識して、決して忘れないということを大事にしてます。
課題を持って取り組むチャレンジ精神が社風としてあるんですよ。

今回、UL-EIを導入した理由もその改善活動の一環でしょうか。

そのとおりです。
大型の鋳物を扱うので、高所作業の際には安全を確保するために作業車の導入を検討しました。
今回、スノーケルのUL-EIを導入したのは御前崎工場の鋳造部門です。
鋳造部門の担当する工程は、模型が完成したあとから鋳物を作って、その測定までですね。

女性による工場巡視を行っている

女性による工場巡視を行っている

UL-EIの導入目的とその効果

実際にはどう利用されているのですか?

砂を固めたあとに溶けた鉄を流し込む作業の前に、その注ぎ口に表面処理を施す必要があります。
その注ぎ口がだいたいこれまでのものだと高くても3mくらいでした。
しかし、公共工事で使うポンプなどの鋳物は大きくして効率化を目指します。いままで組み合わせて作っていたものを1台で製作できるようにするんですね。
そのため、大型化した鋳物は高さが4mくらいになります。
とくにこの注ぎ口の処理をするところは通路が狭く、かつ高いところにモノを持って上がらなければならなく、安全活動のなかでは問題視されていたんです。

注ぎ口の低いものでは1~2mくらい

注ぎ口の低いものでは1~2mくらい

なるほど。では、その高所作業用にスノーケルの製品を選んだのはなぜですか?

じつは最初に目についたのはアームの向きが変わるブーム式の機械でした。
既存の高所作業車というのは、多少スライドして動けるとしてもあまり融通が利かないんですね。
そのためブーム式と迷いましたが、検討しつつ結局、UL-EIにしました。
アウトリガーを張らないタイプですね。
狭いスペースで、ある程度移動できるタイプとしてマッチしたのが理由の1つ。
それと、パッと見て格好よかったんですよね。
弊社は以前から、工場内の注意書きや張り出すポスターなどのカラーにブルーをよく使ってまして、その色も合っているのが気に入りました。

大型化した鋳物は高さが4mくらいになる

大型化した鋳物は高さが4mくらいになる

今回の導入までの流れを教えていただけますか。

導入しようという話が持ち上がってから半年くらい検討して、問い合わせたのが2010年の10月あたり。
すぐにデモをしていただいて、問い合わせから1ヶ月くらいで導入しました。
納期までの対応はスピーディで、導入が決まってすぐに持ってきていただいて非常に良かったですね。
購入してからも、いろいろとやりとりさせていただいています。
作業のときに鉄の熱は発生しないので、ACタイプを導入したのですが、電圧降下がかかると調子が悪くなるということもあって、アドバイスを頂いて、いまは太いケーブルを使っています。
UL-EIの導入後もブーム式が気になっていて、スノーケル社の工場のほうにデモを見に行かせてもらったときも、素晴らしい対応してもらいました。

狭いスペースである程度自走できるタイプを探していた

狭いスペースである程度自走できるタイプを探していた

作業する上で改善は見られましたか?

そうですね。
昇り降りのときの安全性は、目的通り向上したと思います。
最初に感じた印象よりも、実際に使うと効果があるなと思った部分もあります。
フロアへの4点の固定がちゃんと効いてランプが付かないとリフトアップができない点などは、作業者に任せっきりということがないので安心安全ですね。
それから先にも話したように、工場内ではつねに改善できる場所をチェックして、地道に結果まで導いてます。
ISOやOSHMSの認証を受ける際にも、危険度や設備検査も行っていますので、UL-EIの導入はそういう部分でも貢献していますね。

昇り降りのときの安全性は、目的通り向上した

昇り降りのときの安全性は、目的通り向上した

ご要望と総合評価

導入したUL-EIについて、ご要望はありますか?

導入してすぐに、樹脂製のタイヤにユ玉(鉄の破片)が付いてしまったんです。
それでタイヤの回りが悪くなってしまいました。
弊社は作業環境がハードですから、市販のものは少なく特注のものばかりなんですよね。
作業環境の問題もありますし想定外ではあったんですけれど、また同じような状態になりつつあります。
適した素材のタイヤまだ見つからないということで、今後の課題ということで取り組んでもらってます。
厳しい環境でも使える素材が増えるとうれしいですからね。

今回の全体的な評価をお願いします。

工場内では、まだまだ高所作業で対策しなきゃいけないところがありますが、改善できるところに手を打てたのは良かったです。
コスト面でも要望と合っていましたし、デザイン的にも気に入っています。
それに、やりとりさせていただいた営業の方も好印象ですし、満足させてもらっています。

昇り降りのときの安全性は、目的通り向上した
※株式会社木村鋳造所のWebサイト http://www.kimuragrp.co.jp/
※取材日時2012年1月

お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

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