【お客様の声】株式会社カゴオ 様/A46JRT導入事例「A46JRTを導入して足場の組みバラシの必要がなくなり、安全性も大幅に向上しました」


株式会社カゴオ様は高知県安芸郡奈半利町で船舶のメンテナンス、部品の販売やホテル事業と手広く手がけていらっしゃいます。弊社のA46JRTを2台ご使用いただいています。今年2019年で創業50周年を迎える節目の年に、代表取締役専務 籠尾寿仁様にお話を伺いました。

個人事業主としてのスタートから現在まで

御社の歴史と仕事内容を教えてください。

――ちょうど50年前になるんですが、私の祖父が船の機関整備の個人事業主から始めました。船のエンジンと主機と補機の修理ですね。陸上用の大型トラックなんかもやってました。

最初は高知市内で下請けのような感じでやっていたんですが、7年後に奈半利町が誘致してくださり、ドックを持ってからは法人化して株式会社籠尾ドックとなりました。その後ホテル事業をはじめてから株式会社カゴオになって現在に至ります。

扱う船は漁船が多いのですか?

――昔は鮪漁船が8割超えていましたが、今は2割程度ですね。鰹漁船が2割、その他の運搬船なんかが1割、残りの5割は官公庁船です。海上保安庁さんの船が多いですね。

漁船、運搬船とそれぞれの大きさや性質が違う船を扱っておられますが、どんな作業をしているんでしょうか。

――塗装と溶接作業ですね。

普段の作業で使っている設備や道具はどんなものですか。

――前までは船の大きさに合わせた足場をその都度組んでいましたが、いまはスノーケルで購入した機械を使ってますよ。

ありがとうございます。

――足場を毎回組んでいると作業に取り掛かるまでに2~3日ほどかかってしまうので、本当に時間がかかるんですよね。

短い工期の中で作業しなければならない場合はたしかにネックになりますよね。

――工期を短くすることは確かに大事なんですが、実はうちの場合はできるだけ長く工期をとって、期間内でできる作業量を増やすようにしてます。特性としては遠洋航海の船が多いんですけど、その船が航海に出ている1年間のうち1度も整備はしないわけですよね。なのでドック期間中にすべてのメンテナンスをすることになります。

通常、船はどれくらいの頻度でメンテナンスに出すものなんですか。

――1年に1回程度ですね。なので休漁期は整備に出す船が集中します。漁船だけでなく、多種多様な船舶に対応できるように設備は揃えています。

修繕の内容などはお客様にどう提案しているのですか。

――船が入港したら、まず工事担当者が本船の担当者と工事内容の打ち合わせをします。

オーダーが出ている所から整備をしていくと、他の箇所にも不具合とか問題が出てくるんですよね。そういう場合は他社では断られることもありますが、うちでは対応するようにしています。作業効率より現場の状況に対応することを重視しているので。「ここは直したほうがいいですよ」という提案はその場でしていますね。

決まった作業を進めるだけでなく、お客様に寄り添って丁寧に接していらっしゃるのがわかります。鮪や鰹の漁船は入港したらどれくらい預かっているんですか。

――だいたい1ヶ月ですかね。鰹漁船は2ヶ月くらい預かることもあります。鰹の場合休漁期間が12~1月までありますので。真夏は特に漁獲量が増えて勝負時なので、その時期にトラブルが起きないよう整備に出してますね。

1年間のうち修繕する船の数はどれくらいなんですか。

――60隻くらいですかね。ドック3本で回しています。499tまでの大きさの船が対応可能です。

「A46JRTを導入して足場の組みバラシの必要がなくなり、安全性も大幅に向上しました」

お仕事をしている中で、一番大変なことはなんですか。

――会社の経営ですね(笑)。

そうなると資金繰りの話とかになってしまうので(笑)。他にはなにかありますか。

――作業の中で大変なのは、船を下架するときですね。船の修繕作業が終わった後に海に船を下ろす作業です。失敗できないので、入念に準備して行います。船の中のいろんなところにある燃料のタンクをチェックして、船が傾かないように場所を整理します。陸地から港に向かって下り坂になっているところに船を途中まで下ろして、ワイヤーを切り離して一気に滑り下ろします。作業中はお客様の財産を預かっているわけですから、安全面には特に気をつけていますね。常に危険が伴っていますから。

一番やりがいを感じるのはどんなことですか。

――難しい工事内容を完工させることですね。塗装の場合はペンキの見栄えが良くなったとか。うちで塗装したことで速力が1上がったとか。そういう声を聞くとやりがいを感じますね。

最初に籠尾専務に引き合いをいただいたのは2017年の4月頃でした。それまでは先程のお話にもありましたが、足場を組んで作業していたんですよね。その頃専務が感じていた問題点はどんなことですか。

――先程もお話したように、作業に取り掛かるまでに時間がかかることですね。足場が老朽化して、メンテナンス費用もかかってましたし。それに足場を使う作業の法律がどんどん変わっていくので、それに沿った足場を組むのに更に工数がかかるようになりまして。バラすのも大変ですしね。

その状況を打破するために導入を検討するものとして、高所作業車という選択肢は最初からあったんでしょうか。

――ずっと前から選択肢にはあったんですが、先代が気に入るものがなくて。アームが多種多様に折り曲げられる高所作業車はないかと探していたところ、ネットで検索したらエイハンさんの機械が出てきました。

造船所で使われる機種はまっすぐ上がるタイプのものがポピュラーなのですが、カゴオ様の場合はジブを曲げて船の近くまで行けるものとして弊社の製品を見ていただけたということですね。傾斜地で使えるものを希望していらしたので、傾斜5度まで対応できるANSI製を納品させていただきました。

――ヨーロッパの規格のものだと、たしか傾斜地はダメだったんですよね。

そうですね。アメリカの基準で製造された機械を輸入しました。他社の機械は検討されましたか?

――あんまり良いのはなかったですね。安全性が気になって。

A46JE製品イメージ

A46JE製品イメージ

ありがとうございます。工場のほうに実機を見にきてくださったことはありましたか?

――いえ、見たことはなかったですね。バリシップ(*1)に展示されていたことは知っていたんですがタイミングが合わなくて。動画を見て決めました。

実機を見ずに2台購入とは、なかなかチャレンジだったのではないのでしょうか。

――アフターサービスがちゃんとされていると聞いていましたので、あまり心配はなかったですね。製品動画も良くできていましたので、見ればどんな感じかはわかりましたよ。

新しいものを取り入れることに抵抗のない姿勢を見ると、専務は先進的なことを積極的に取り入れているイメージがありますね。

――そうですかね。長く会社を続けるためにも、いいと思ったものは取り入れたいと思いますね。

高所作業車を導入した後の社内の方の反応はいかがでしたか。

――性能は国内製に比べたら格段によかったですね。操作ミスが起きないような操作盤の作りになっているし。先日、高知県内の造船所がうちに来て高所作業車を見て行ったんですが、好評でしたよ。

溶接と塗装作業にお使いいただいているんでしょうか。

――そうですね。塗装がメインですが。

納品後、何度かトラブルがあり大変ご迷惑をおかけしました。

――それは機械モノなのでどうしようもないこともありますよね。でもアフターサービスはしっかりやっていただけましたし、満足していますよ。

使っていてここがこうだったらいいな、などの要望はありますか。

――もうちょっと作業半径が広かったらいいですね。届かないところがあると自走させていかないといけないので。でも安全面を考えたら今くらいがちょうどいいのかな。あとはエンジンルームに鉄くずやゴミが入らないような作りだともっといいと思います。雨のときなんかも水が入ってきてしまうので。あとは発電機能があったら最高ですね。

この機械の導入のメリットは他にはありますか。

――安全面はかなり上がりましたね。コストの削減にも繋がりました。繁忙期は1日中使ってます。

今後カゴオ様が目指すもの

今後のカゴオさんの事業についてはどのようなことを考えていますか。

――船の総合病院のような会社にしたいですね。今は限られた作業しかできていないので。お客様に安心して船を預けられるように新しいシステムを導入も考えています。高知市内や瀬戸内に新しい事業所を作りたいとも思っています。最大の目標は次の世代に引き継げるような礎を作りたいです。働きやすい環境、安全、ITなんかも積極的に取り入れたいですね。

納品して半年、あまり日が経っていませんが、今後も永くお付き合いできたらと思っています。ありがとうございました。

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